むかし橋ができると、橋の袂に人々の憩いの場所ができ朝市がたったり夜店が並んだりして、一日中賑わう、いわゆるコミュニケーションの場になりました。

 また夏には花火見物の桟敷にもなっていました。橋の下に流れる清らかな水の流れをみつめるのもその一つだと思います。
 このように橋には、人々を引き寄せる何かがあるのではないでしょうか。自動車社会の今日では、このような事はなくなってしまいました。しかも町や地域に住む人々の心のふれあいまで忘れてしまっています。

 それに川もだいぶ汚染されてしまっていることも、私たち人間が川に橋を忘れさせてしまっている由縁かもしれません。
 かつて私たちは川や谷を隔てた向こう側に住む見知らぬ人たちとの交流や物流を希望して橋を架けたわけです。何年…何百年もの間さまざまな出会いを見てきた橋。橋は人々の心と心を結んできたといっても過言ではありません。

 上田・小県地方には数多くの橋が架けられていますが、そのうち橋の名前が大変ユニークなものや、日常の生活に大事な橋「100橋」を地図上から選び出し平成8年9月に上田創造館で「橋梁写真展」を開催いたしました。その後多くの皆さんからこれを図録にしてはと希望がありましたので、今回関係機関の御協力によりこの図録を作成する運びとなりました。

 本図録が、人々が橋にいろいろな思いを寄せていた時代への”橋渡し”になることができれば幸いと存じます。
 短期間の調査でありましたので、誤謬があるかと思います。よろしく御教示を賜りますようお願い申し上げます。